水郷の数寄屋 臥龍山荘(全144頁)
発行:愛媛県大洲市
伊予の小京都と呼ばれる愛媛県大洲市を流れる肱川流域随一の景勝地に佇む、
明治末期に建てられた数寄屋「臥龍山荘(がりゅうさんそう)」。
かつては黒川紀章氏が「花数寄」、司馬遼太郎氏が「贅沢な美学性から出ている」と評し、
2011年には「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」一つ星に輝きました。
しかしながら、その成り立ちは謎に包まれたままであり、
なぜこのような数寄屋建築が可能だったのか、
施主である河内寅次郎とはどのような人物だったのか。
大洲の歴史や産業、寅次郎自身や彼と関わった人物について調べるとともに、
明治期、数寄屋建築に関わる職人たちや千家十職たちがどのような状況に置かれていたのか、
その時代背景にいたるまで取材調査した一冊です。
建物の意匠を美しい写真で紹介するとともに、
現代を代表する建築家・隈研吾氏が再評価を試みました。
【Contents】
臥龍山荘、美の真相
6-臥龍山荘の意匠
28-臥龍山荘はどこから来たのか
建築の見どころと、参考にした名建築
貿易商・河内寅次郎の夢
50-西欧化の嵐の後、よみがえった日本文化
54-河内寅次郎の出自と人物像
78-明治時代の〝水の道〟肱川
81-寅次郎亡き後の臥龍山荘
臥龍山荘・再評価の試み
87-隈研吾、臥龍山荘を語る
臥龍山荘の建築的・文化的顕彰
100-千家十職とはなにか
臥龍山荘の建築に携わった京都の職家たち
110-〈随筆〉臥龍山荘の数寄と茶心 ── 茶人・木村宗慎
120-臥龍山荘を造った男
大工・中野虎雄とはどのような人物か
120-臥龍山荘を未来に残す技
平成の大修理で見たこの建築のすごさ
128-〈エッセイ〉臥龍山荘は生きている ── 俳人・神野紗希
臥龍山荘にまつわる謎についての考察
132-臥龍山荘の建築 ── 京都工芸繊維大学大学院 准教授・矢ヶ崎善太郎
資料からその謎と魅力にせまる
140-年表「大洲と臥龍山荘の歩み」
142-大洲の懸け造り